月の光が届かない真っ暗な夜の海。
あれほどキラキラしていた世界が、黒に染まっている。
不安。
恐怖。
死。
すべての黒いモノが、僕たちの心に押し寄せてくる。
僕たちは黒の世界から逃げ出したい一心で走り出そうそするが、
自分の立っているところがわからないため一歩も踏み出せない。
足がすくむ。
怖い。
遠くから一筋の光が走る。
「やあ、ここだよ。」
その光は何度も何度も走ってくる。
何も見えない黒の世界の中で、僕たちの存在を教えてくれる。
そう、あれは灯台。
明るい時は目立たないが、暗い夜の海では必要な存在。
右も左もわからない黒く深い夜の世界で、
僕たちの立っているところを教えてくれる。
初めの一歩を踏み出させてくれる。
さあ帰ろう。
さあ行こう。
僕たちに灯台の灯がいつも届きますように。
笑顔でいこう。
ニコリ×ニコリー。
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文 もりさきひろし
画像は #AdobeStock より